子宮内膜症とは
子宮の内側を覆う子宮内膜が、子宮の内腔以外の場所にできてしまう病気です。
子宮内膜は、毎月月経(生理)として排出される組織で、正常な場合は子宮の内側にしかありません。
子宮内膜組織は、月経のたびに剥離し、出血します。
しかし、子宮内膜症になると、子宮の外側や卵巣、腹膜、腸などにも子宮内膜が転移してしまうのです。
子宮以外の場所に増殖した子宮内膜組織は、体外に排出されることができず、慢性的な炎症や癒着、嚢胞などが生じて、痛み、不妊症などを引き起こすのです。
子宮内膜症は、10〜15人に1人の女性が罹患しているといわれています。
子宮内膜症の症状
よくある症状としては、月経前後や排卵期におこる下腹部の痛みや鈍痛です。
この痛みは生理痛とは異なり、日常生活に支障をきたすほど強い場合があります。
無症候性の場合もありますが、子宮内膜症の症状としてよくあるものを紹介します。

子宮内膜症
- 月経痛
月経前後に強い下腹部痛や腰痛が起こります。
通常の月経痛よりもひどく、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 骨盤痛
月経時以外にも骨盤内に慢性的な炎症や癒着が起こり、骨盤周囲の圧迫感や重だるさを感じます。
- 性交痛
性交時に骨盤内の組織が刺激されて激しい痛みが起こったり、性交後にも痛みが持続することがあります。
- 排便痛
排便時に直腸や肛門周囲の組織が刺激されて痛みが起こります。
また、子宮内膜症が腸に広がることで便秘や下痢が起こることも。
- 疲労感や精神的な影響
子宮内膜症の症状や痛みにより、疲労感や精神的な不調が生じることがあります。
慢性的な痛みや生理的な不快感によって、心理的な負担がかかってしまいます。
- 不妊
子宮内膜症による不妊のメカニズムは明らかではありませんが、卵巣や卵管の機能障害や癒着、免疫系の異常などが関係していると考えられています。
また、子宮内膜組織が分泌する物質が受精卵の着床を妨げることもあります。
子宮内膜症に伴う不妊に対しては、通常の不妊治療と同様に、排卵誘発剤や人工授精、体外受精などが行われます。
しかし、子宮内膜症の程度や患者の年齢によっては、妊孕率(にんようりつ:妊娠する力のこと)が低下することもあります。
子宮内膜症はなぜ発症するのか
子宮内膜症の原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの仮説があります。
子宮内膜組織は女性ホルモンの影響を受けるため、ホルモンバランスの乱れやストレスなどが発症や悪化に関係しているとも考えられています。

子宮内膜症
- 逆行性月経説(Retrograde Menstruation Theory)
この説では、月経血が子宮から逆流し、腹腔内に入ることによって、子宮内膜が成長して子宮内膜症が発生するという考え方です。
正常な女性でも一部の月経血が逆流することがありますが、その後、免疫系によって排除されます。
しかし、子宮内膜症の女性では、排除されずに子宮外の組織に付着し、成長してしまうと考えられています。
- 先天性異常説(Congenital Theory)
この説では、胎児の発達段階で子宮内膜の一部が子宮以外の場所に誤って移行し、子宮内膜症が形成されるとされています。
この異常な移行は、子宮形態の異常や発達の問題に関連している可能性があります。
- 血行性説(Vascular Theory)
血液やリンパ液などの体液を介して子宮内膜の細胞が他の組織に運ばれ、子宮内膜症が生じるとされる説です。
血行性説は、子宮内膜症の転移性病変や子宮内膜症が複数の場所に同時に発生する場合に支持されることがあります。
- 免疫異常説(Immunological Theory)
この説では、免疫系の異常が子宮内膜症の発症に関与しているとされています。
具体的には、免疫系が正常な子宮内膜の排除を十分に行えないために、子宮内膜が子宮以外の場所に定着し成長してしまうと考えられています。
子宮内膜症になっているのかわからない…
まずは、病院で診察、検査してもらいましょう。
基本的には、子宮内膜症の診断は、身体検査や超音波検査、MRIなどの画像診断で行われます。
しかし、これらの検査では見逃される場合もあるため、確定診断には手術的な検査をすることもあります。
この検査は、腹腔鏡検査という方法で腹部に小さな穴を開けてカメラと細い器具を挿入し、お腹の中を直接見て、子宮内膜の有無や程度を観察します。
お腹に大きな切開をする必要がないので、従来の開腹手術に比べて、痛みが少なく、回復が早いというメリットがあります。
子宮内膜症の治療法
子宮内膜症の治療法は、個々の患者さんの年齢や妊娠希望、症状の度合いなどによって選択されます。

子宮内膜症
経口避妊薬(ピル)
子宮内膜症の症状を軽減するために、経口避妊薬(ピル)が処方されることが多いです。
重症化する前に、ピルを使って症状を防いだり改善することが出来るので、有効な手段として使用されています。
具体的には、子宮内膜症に対してこんな効果があります。
- ホルモンバランスの調整
ピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンは、月経周期を制御し、子宮内膜の成長を抑制する働きがあります。
これにより、子宮内膜の異常な増殖や炎症が抑制され、症状の軽減が期待できます。
- 月経に関する痛み、不快感が減る
子宮内膜症に関連する症状である月経痛や腹部痛、不正出血などが軽減されることが期待されます。
痛みの頻度や強さが軽減されることで、生活の質が向上する可能性があります。
- 炎症の抑制
子宮内膜症は炎症を伴う状態ですが、ピルは炎症の抑制にも効果があります。
炎症の軽減により、痛みやその他の症状が改善されることがあります。
プロゲスチン療法
プロゲスチンは経口薬、注射、またはインプラントの形で使用され、こんな効果があります。
- 子宮内膜の成長抑制
プロゲスチンは子宮内膜の成長を抑制する作用があります。
子宮内膜症では、異常な子宮内膜の増殖が問題となりますので、プロゲスチンがこの増殖を抑えることで症状が改善する可能性があります。
- 炎症の軽減
子宮内膜症は炎症を伴う状態であり、プロゲスチンは炎症の軽減にも効果があります。
炎症が抑制されることで、痛みやその他の症状が緩和される場合があります。
- 月経の制御
月経の頻度や量が減少することで、月経時の痛みや出血が軽減される可能性があります。
手術治療
重度の子宮内膜症や症状の軽減が困難な場合、腹腔鏡手術や子宮摘出手術(ヒステリックトミー)などの手術が必要になることがあります。
手術の目的は、子宮内膜症の組織を除去または破壊し、症状の軽減や妊娠の可能性を高めることです。
- 腹腔鏡手術(子宮内膜症の組織摘出術)
腹腔鏡手術は、子宮内膜症の病変組織を摘出するための最も一般的な手術方法です。
腹部に小さな切開をして腹腔鏡を挿入し、子宮内膜症の病変組織を切除または焼灼します。
この手術は、病変組織を取り除くことで症状の軽減や妊娠の可能性を高めることが期待されます。

子宮内膜症
- 子宮摘出手術(ヒステリックトミー)
重度の子宮内膜症や他の治療法の効果が限定的な場合、子宮の摘出が検討されることがあります。
子宮摘出手術は、子宮内膜症の病変組織を完全に取り除くことができますが、妊娠能力が失われるため、妊娠を希望する場合には避けたい方法です。
手術は病変組織の除去によって症状を軽減することができますが、子宮内膜症の再発や症状の再発の可能性もあります。
手術後は、症状の経過を定期的にモニタリングすることが重要です。
子宮内膜症は、放っておかずに治療をしましょう
子宮内膜症は完治することが難しい病気であり、再発する可能性が高いため、定期的なフォローアップが必要です。
再発や合併症を防ぐためには、定期的な検査や経過観察が必要です。
また、生活習慣の改善やストレスの軽減なども大切です。
子宮内膜症に悩む女性は多くいますが、早期発見・早期治療で、改善できる病気なので安心してくださいね。
病院に行くのは『いやだなぁ』と悩んでいるなら、とりあえず、オンライン診療で相談してみるといいですよ。ピルに限らず、女性の悩みが相談できます。
![]()


コメント